プロジェクトの目的・背景
チーム
株式会社ARK
課題意識
陸上養殖(閉鎖型循環式陸上養殖:RAS)の普及において、莫大な初期費用(CAPEX)と高い運用費用(OPEX)が最大の参入障壁となっています。特に水質を維持するための窒素化合物(アンモニアや硝酸塩など)の処理や維持コストは、養殖密度やエネルギー消費量、生産原価に直結する核心的な課題です。
目指す姿
AIや自動化技術を活用して「閉鎖型陸上養殖における窒素循環」を最適化し、ハタ類をはじめとする高級魚の生産原価を2,000円/kg以下へと大幅に低減した「次世代モジュラー型RAS」を開発します。これにより、誰でもどこでも参入可能な「分散型陸上養殖システム」の社会実装を目指します。
実施内容
本取り組みでは、次世代モジュラー型閉鎖型陸上養殖(RAS)の開発・実証を核とし、コスト削減・AI最適化・省人化(ロボティクス)・異分野融合を組み合わせることで、高効率かつ持続可能な分散型陸上養殖エコシステムの社会実装を目指します。
1. ハードウェアの設計最適化と設備コストの削減
- 設備のモジュール化および設計の最適化を推進し、単位水量あたりの設備コストを大幅に圧縮します。
- 導入ハードルを下げることで、小型・分散型養殖モデルの普及基盤を確立します。
2. AIを活用した水質・ろ過性能の極大化
- 多数の試験水槽および管理アプリを通じて、アンモニアや硝酸塩などの水質データや給餌データを収集・AI学習させます。
- AIによるパラメータ制御を行い、硝化・脱窒をはじめとする水質ろ過性能を10%〜20%向上させます。
3. 物質収支(マスバランス)理論によるエネルギー消費の最小化
- 窒素の発生・ろ過量に応じた物質収支理論に基づき、最適な循環流量(ポンプ動力)を精度高く算出します。
- 無駄なエネルギー消費を抑えるアルゴリズムを構築し、運用の電気代を大幅に削減します。
4. ロボティクス・自動化技術による省人化と生産性向上
- 自動給餌器、搬送選別機、掃除機構などのロボティクス技術を養殖システムへ統合します。
- 現場の作業負担を大幅に軽減し、少人数でも安定運用できる高い労働生産性を実現します。
5. アカデミア知見の橋渡しと異分野技術の融合
- 養殖現場の課題に対し、生態学・微生物学・水質環境技術といった大学・研究機関等の専門知を統合します。
- 学術的なアプローチと現場技術を複合させ、プロジェクト全体における研究推進と検証を伴走・強化します。
6. オープンイノベーションによる社会実装エコシステムの構築
- 各種プログラムや共創の場を通じて、自治体・パートナー企業・金融機関等を巻き込んだ連携体制を構築します。
- 単なる技術実証にとどまらず、分散型陸上養殖モデルを社会へ広く展開・定着させるための事業・地域エコシステムをデザインします。
将来的な展開・パッケージ化(横展開)
- 「養殖OS+インフラ」としてのパッケージ化: 水質データ制御・窒素循環ろ過システム・省人化ロボティクスを統合した標準化モデル(次世代モジュラー型RAS)を確立し、動産ファンドやリースモデルを活用して異業種企業や自治体へ提供(装置・運用OSの横展開)します。
- グローバル展開と水産資源の安全保障: 日本国内での新魚種(クエタマ等の高級魚)の普及にとどまらず、ハタ類等の需要が急増している中東(UAE等)や東南アジアをはじめとするグローバル市場へ展開し、世界のタンパク質需要と持続可能な水産生産に貢献します。