概要
硫酸性温泉などの極限環境に生育する微細藻類「ガルディエリア」を活用し、産業排水や廃棄物を処理対象としてだけでなく、新たな資源を生み出す原料として利用するソリューションである。
食品工場、製糖工場、蒸留所、繊維工場などから発生する有機物を含む排水をガルディエリアの培養に活用するとともに、得られたバイオマスを貴金属回収などへ展開することで、「排水処理」と「資源回収」をつなぐ新たな循環モデルの構築を目指す。
また、ガルディエリアを活用した金回収技術を天然鉱山へ適用することで、水銀などの有害物質に依存する金採掘プロセスの代替にも取り組んでいる。
技術面における強み
ガルディエリアは、高温・高酸性など他の生物が生育しにくい環境でも生育でき、光合成だけでなく、光がない環境でも栄養源を利用して生育できる特性を持つ。このため、さまざまな産業由来の有機物や排水を培養資源として利用できる可能性がある。
さらに、ガルディエリアは細胞表面に金(Au)やパラジウム(Pd)などの貴金属を吸着する特性を持つ。ガルデリア社では、この特性を利用した貴金属吸着材を開発しており、10ppm以下の低濃度溶液や強酸性溶液などからの貴金属回収にも対応している。
排水から藻類を育て、そこで生み出したバイオマスをさらに資源回収へ利用することで、水処理を単なる「浄化」で終わらせず、新たな価値を生み出すプロセスへ転換できることが本技術の特徴である。
導入事例(実証実績含む)
提供した相手
Filminera Resources Corporation(フィリピン)
提供したソリューションについて、業務の概要
フィリピンの金鉱山をフィールドとして、ガルディエリアを活用した金回収技術の現地実証に向けた取り組みを推進している。
Filminera Resources Corporationとの間で鉱石サンプル回収に関する契約を締結し、サンプルの回収、フィリピン鉱山地球科学局(MGB)による分析・証明書取得、日本への輸送までのプロセスを構築した。
取得した鉱石を用いて日本国内で金抽出試験を行い、技術適用性が確認された場合には、現地鉱山における実証へ進むことを想定している。現地実証に向けては、フィリピンの大学・研究機関との連携や、SATREPS等を活用した研究開発体制の構築も検討している。
その他の実証・事業開発
インドおよび東南アジアでは、産業排水を活用したガルディエリア培養モデルの構築に向けたフィージビリティスタディを進めている。
南インドを中心に、蒸留所、製糖工場、果汁加工、カカオ加工、パーム油工場、乳製品加工、パルプ・製紙、繊維染色など、産業排水を持つ事業者を対象として連携候補先を探索する。
あわせて、南インド、マレーシア、フィリピンを中心に、大学・研究機関等との連携による藻類培養・実証拠点の候補を探索し、各国の制度や輸送方法を含めた実証体制の設計を進めている。
こうした取り組みを通じて、
「産業排水・廃棄物 → ガルディエリア培養 → 水環境改善 → 資源回収」
という一連の循環モデルの構築を目指している。